一枚の架空スクープから、小説『RZ-7 ロータリーは、未来へ。』が生まれるまで③

Way of Life

Xの記事として、一気に書いた最初の物語

設定が見えてくると、今度はその勢いのまま文章を書き始めました。

最初から長編小説を作るつもりだったわけではありません。

Xで展開する「新型車開発物語」として、頭の中に浮かんでくるものを一気に文章にしていきました。

今振り返ると、かなり勢いで書いています。

でも、勢いで書いたからこそ残ったものもありました。

まだ文章として荒削りでも、

「このクルマを未来へ送り出したい人たちがいる」

という、この物語の一番大事な部分は、最初の段階からそこにあったように思います。

そして書き進めるうちに、これは単に「未来のロータリースポーツカーが誕生する話」だけでは終わらないな、と感じるようになりました。


書きたかったのは、クルマよりも「造る人」だった

もちろん、ロータリーは好きです。

スポーツカーも好きです。

新しいRZ-7が走る姿を想像するだけでも楽しい。

でも物語を書き続けているうちに、自分が本当に書きたかったものが少しずつ見えてきました。

それは、クルマそのものではなく、

ものを造る人たちの想い

でした。

新しいものを世に送り出そうとする人。

思い通りに進まなくても、次の方法を探す人。

品質を守るために「止める」と言える人。

昔から受け継いだものを、そのまま保存するのではなく、次の時代へ渡そうとする人。

物語の中でRZ-7を造っているうちに、この作品はいつしか、

ものづくりに携わるすべての人たちへのラブレター

になっていきました。

そして、自分の中で大事になっていった言葉が「造る」でした。

ただ形にするのではなく、考え、迷い、試し、壊れたらまた次を考えて、それでも前へ進める。

RZ-7という架空のクルマを通して描きたかったのは、そんな「造る人」の姿だったのだと思います。


一気に書いた初稿から、完成稿へ

勢いで書いた初稿には、その時にしか出せない熱がありました。

だから、その熱はできるだけ消したくありませんでした。

一方で、小説として読んでもらうには、そのままでは足りないところもたくさんあります。

そこで、初稿を土台にもう一度物語を組み直しました。

人物の立場。

技術的な描写。

誰がどの言葉を言うのか。

試験走行の場面。

品質保証の判断。

工場での作業。

発表会へ向かうまでの時間。

そして、物語の最後に何を残すのか。

細かな言葉も何度も見直しました。

「作る」ではなく「造る」と書きたいところも、そのひとつです。

クルマを速く走らせるだけなら、物語はもっと簡単だったかもしれません。

でも、「未来へ届ける」というところまで描こうとすると、その一台に関わる人たちの考え方まで必要になりました。

少しずつ削って、足して、また読み返す。

そんな作業を重ねながら、最初のXの記事は全10章の物語へと変わっていきました。