Xの記事として、一気に書いた最初の物語
設定が見えてくると、今度はその勢いのまま文章を書き始めました。
最初から長編小説を作るつもりだったわけではありません。
Xで展開する「新型車開発物語」として、頭の中に浮かんでくるものを一気に文章にしていきました。
今振り返ると、かなり勢いで書いています。
でも、勢いで書いたからこそ残ったものもありました。
まだ文章として荒削りでも、
「このクルマを未来へ送り出したい人たちがいる」
という、この物語の一番大事な部分は、最初の段階からそこにあったように思います。
そして書き進めるうちに、これは単に「未来のロータリースポーツカーが誕生する話」だけでは終わらないな、と感じるようになりました。

書きたかったのは、クルマよりも「造る人」だった
もちろん、ロータリーは好きです。
スポーツカーも好きです。
新しいRZ-7が走る姿を想像するだけでも楽しい。
でも物語を書き続けているうちに、自分が本当に書きたかったものが少しずつ見えてきました。
それは、クルマそのものではなく、
ものを造る人たちの想い
でした。
新しいものを世に送り出そうとする人。
思い通りに進まなくても、次の方法を探す人。
品質を守るために「止める」と言える人。
昔から受け継いだものを、そのまま保存するのではなく、次の時代へ渡そうとする人。
物語の中でRZ-7を造っているうちに、この作品はいつしか、
ものづくりに携わるすべての人たちへのラブレター
になっていきました。
そして、自分の中で大事になっていった言葉が「造る」でした。
ただ形にするのではなく、考え、迷い、試し、壊れたらまた次を考えて、それでも前へ進める。
RZ-7という架空のクルマを通して描きたかったのは、そんな「造る人」の姿だったのだと思います。

一気に書いた初稿から、完成稿へ
勢いで書いた初稿には、その時にしか出せない熱がありました。
だから、その熱はできるだけ消したくありませんでした。
一方で、小説として読んでもらうには、そのままでは足りないところもたくさんあります。
そこで、初稿を土台にもう一度物語を組み直しました。
人物の立場。
技術的な描写。
誰がどの言葉を言うのか。
試験走行の場面。
品質保証の判断。
工場での作業。
発表会へ向かうまでの時間。
そして、物語の最後に何を残すのか。
細かな言葉も何度も見直しました。
「作る」ではなく「造る」と書きたいところも、そのひとつです。
クルマを速く走らせるだけなら、物語はもっと簡単だったかもしれません。
でも、「未来へ届ける」というところまで描こうとすると、その一台に関わる人たちの考え方まで必要になりました。
少しずつ削って、足して、また読み返す。
そんな作業を重ねながら、最初のXの記事は全10章の物語へと変わっていきました。


